訓練ワークショップ紹介

日程 トレーナー ワークショップタイトル
1
全日A(10:00~13:00、14:30~17:30)
能 幸夫
精神看護・精神科臨床における患者の能力の査定と介入 -力動的アセスメントに基づくセルフケアの実際-
2
全日B(10:00~13:00、14:30~17:30)
橋本 和典
学生相談・教育相談のための発達ベイス面接法
3
全日C(10:00~13:00、14:30~17:30)
ラルフ・モラ
子どもと青年との臨床における成熟
4
半日D-1(10:00~13:00)
セス・アロンソン 橋本 麻耶
ほどよい母親、ほどよいセラピスト
5
半日E-1(10:00~13:00)
中村 有希
自我起動鍛錬プログラムSET(Socio-Energetic Training)
6
半日D-2(14:30~17:30)
花井 俊紀
力動的心理療法の始め方①:力動的心理療法空間を作る
7
半日E-2(14:30~17:30)
ジェイムス 朋子
カップルと向き合う難しさと面白さ ―力動的カップル・セラピィ事例を用いたロール・プレイ演習ー

オープン・プログラム:大会参加者および大会非参加者が参加可能なプログラム

1. 全日A (10:00~13:00、14:30~17:30)

精神看護・精神科臨床における患者の能力の査定と介入 -力動的アセスメントに基づくセルフケアの実際-

トレーナー:能 幸夫(湘南病院相談室室長)

 精神看護・精神科臨床において患者のセルフケアを援助していくことは、彼らの療養生活において一つの大きな柱となります。そのセルフケアを展開していく上で、患者自身の能力を捉え、それを生かすことがひとつの鍵となります。自我脆弱性といわれる体質的な弱さ持つ患者とはいえ、生活に関わる適応能力は、力動的に見れば十分に認められます。力動的アセスメントは、患者の病理的側面のみならず、彼らの能力についても積極的に査定していきます。ワークショップの演習を通して患者の能力を生かすセルフケアをともに学んでいきましょう。

定員:30名

2. 全日B(10:00~13:00、14:30~17:30)

学生相談・教育相談のための発達ベイス面接法

トレーナー:橋本和典(国際医療福祉大学/PAS心理教育研究所・学会理事)

 発達ベイス面接法とは、クライアントの発達課題や成果を精緻にアセスメントした上で、発達促進に向けた介入を行っていく技法体系である。力動的心理療法家であれば、この面接を入り口として、オーソドックスな心理療法へと展開することも狙う。本ワークショップでは、発達課題の中でも、現代青年を理解する鍵である「思春期」の発達課題を取り上げる。思春期発達課題を精緻に読み解き、それを越えるための発達ベイス面接法の基本イメージをつかむことを本ワークショップの目的とする。さぁ、「思春期の壁」を越えよう!

対象:学生相談、教育相談、SCなどの思春期、青年期の相談者を対象として仕事をしている専門家(初心、ベテランであることを問わない)、発達ベイス面接法に関心のあるあらゆる領域の専門職者(教師、看護師等)、および専門家を目指す大学院生

定員:20名

クローズド・プログラム:大会参加者のみが参加可能なプログラム

3. 全日C(10:00~13:00、14:30~17:30)

子どもと青年との臨床における成熟

トレーナー:ラルフ・モラ(個人開業/メリーランド大学教授)

 今大会のテーマは「成熟に向けた力動的心理療法」である。このワークショップでは、子どもとの臨床に焦点を当てることで、本テーマへの取り組みを試みる。ここでは、成熟は発達と同義とみなす。子どもの臨床では、子どもの適応的な対処メカニズムの発達を手助けすることが期待される。そしてそれは、自己調整、建設的な社会的目標や継続的で良好な人間関係をなどを含む、安定したアイデンティティの発達を助けることにもつながる。ひいては、私たちの臨床の目標は、子どもが意味と目的を探求することを手助けすることである。
 そのために、人生の8つの領域における私たちの取り組みについて検討する。これらには、自己、家族、教育、職業、創造性、社会的関係、身体的健康、道徳が含まれる。これらは、私たちが生涯にわたって意味を追求する際に直面する領域と考えられている。マズローのヒエラルキーでは、自己実現を究極のゴールとして、この探求をよりシンプルに捉えることを可能にしている。
 まずこのワークショップでは、私が「成る(becoming)」と呼ぶものの理論的基盤について論じることに焦点を当てる。これは、ヒューマニズムに焦点を当て、心理職や精神科医としての私たちの仕事を定義する部分となる。また、午前のセッションでは、発達についてじっくりと検討し、私たち自身と私たちの若いクライエントの両方において、どのように能力を評価し、限界に対処していくかを考える。午後のセッションでは、参加者自身のケースをグループ形式で発表してもらい、それを考えることを通して、肯定的な力動的なアプローチを視覚化し、体験してもらう。つまりここでは、私たち全員が自分自身の限界を理解し、打破し、そして成熟するための手助けをすることを目指している。

定員:なし

4. 半日D-1(10:00~13:00)

ほどよい母親、ほどよいセラピスト

トレーナー:セス・アロンソン(ウィリアム・ホワイト・アランソン研究所ファカルティ)・橋本麻耶(PAS心理教育研究所)

 ウィニコットの母親と乳幼児の二者関係に関する著作は、セラピストと患者の関係に重要な示唆を与えている。実際、多くの臨床家が、彼の親と乳児の関係に関する記述をセラピストと患者の関係に直結させている。ウィニコットの、乳幼児が在り続けること、一人でいる能力を発達させること、そして遊びを学ぶことなどに関する重要な概念はすべて、治療の目的と目標に直接関係している。乳幼児にホールディング(抱える)の環境を提供する母親は、発達を促すことができる。 それは優れたセラピストも同じである。さらに、ウィニコットは大胆にも、母親が乳児を最初から憎む多くの理由を挙げながら、「逆転移における憎しみ」についても述べている。彼は私たちに、患者に対する愛情だけでなく、憎しみの感情にも触れるよう注意を促した。このワークショップでは、臨床におけるウィニコットの考え方とその応用を探求する。

5. 半日E-1(10:00~13:00)

自我起動鍛錬プログラム SET(Socio-Energetic Training)

トレーナー:中村 有希(PAS心理教育研究所/東京医科大学・兵庫教育大学非常勤講師)

 受身的にクライアントの話を聞いていては、クライアントの病理に巻き込まれるばかりでなく、クライアントの病理を強化しかねない。セラピストによるクライアントへの能動的関わりは意図し、訓練しなければ身につかない。本プログラムは、自己内のエネルギーを能動的対話表現に乗せる心理教育的訓練である。セラピストとしての成熟に向けて、自らのエネルギー運用過程を受動態勢から能動態勢に転換し、その体験プロセスから力動論の基礎も学ぶことができる。大学院生、セラピスト初心者の参加を歓迎する。

定員:20名まで

6. 半日D-2(14:30~17:30)

力動的心理療法の始め方①:力動的心理療法空間を作る

トレーナー:花井 俊紀(吉祥寺心理教育研究所/PAS心理教育研究所)

 力動的心理療法は、クライアントが訴える問題を起点に、彼ら自身のPersonality Changeに取り組む。この営みは「力動的心理療法空間」において行われる。これはセラピストとクライアントが言葉を使ってエネルギーと情報を交わし合い、その時その場に生じる体験を共にし、その体験から心の中で起きることを観察、観測し、力学を分析し理解を進める空間である。ただ面接室で話をしていれば、力動的心理療法空間になるわけではなく、セラピストは能動的に空間作りを進めていく必要がある。本ワークショップは、その空間作りを体験的に学ぶものである。

定員:20名まで

7. 半日E-2(14:30~17:30)

カップルと向き合う難しさと面白さ -力動的カップル・セラピィ事例を用いたロール・プレイ演習-

トレーナー:ジェイムス 朋子(京都橘大学)

 カップル・セラピィは、クライエントにとってもセラピストにとってもまさにエディプスと出会う空間です。カップルの個々人が抱える主訴や葛藤、内的世界、直面する現実、面接空間、転移・逆転移の力動の中にエディプスがあります。
 本ワークショップは、カップルのコミュニケーションや関係性の改善を主眼とするアプローチではなく、個々人の目標と成熟に向かう内的作業に焦点を当て、力動的ミニ・グループとして行うカップル・セラピィを取り上げます。
 臨床家として出会うエディパルな難しさと面白さを味わう時間としたいと思います。